30代になると「新しい趣味を始めたい」「このままの生活でいいのか」と考える人も多いと思います。
自分もその一人で、都会に不満はなかったけれど、自然に目を向けたときにソロキャンプに出会いました。
田舎が嫌で東京に出てきて、20代までは都会が好きで、人混みや賑やかな街が当たり前の生活でした。
ひたすらキャリアや経験を積むために、毎日遅くまで働くことが日常。
そんな生活に不満があったわけではありませんが、30歳を迎えた頃から「いつまでこの生活を続けるのか」と考えるようになりました。
そして気づけば「今まで行ったことのない場所に行きたい」「人混みよりも自然を感じたい」という気持ちが強くなっていたのです。
そこで始めたのがソロキャンプでした。
バイクにキャンプ道具を積んで自然の中へ出かけるだけで、普段の仕事生活とはまったく違う非日常感と心地よさを味わえます。
この記事では、都会に不満を持っていなかった自分がソロキャンプで気づいた自然の癒やしと、30代からの長く続けられる趣味としての魅力を、自分の体験をもとにお話しします。
目次
20代までは都会が好きだった
田舎育ちだったからこそ都会に憧れていた
自分はもともと埼玉の端っこの田舎育ちで、大学進学と同時に東京に出てきました。
20代の頃は「田舎より都会がいい」と思っていて、便利で快適で何でも揃う東京の生活に強く惹かれていました。
プログラマーとしてきれいなオフィスで働き、自由な服装で夜遅くまで仕事をしても、その頃は不満なんて一切ありませんでした。
毎日が終電で、帰りに近くのコンビニでアイスとパスタを買って帰る――そんな日常さえ、当時は都会ならではの当たり前の快適さに感じていました。
観光や休日の過ごし方も「人混み」が当たり前だった
休日は人混みの観光地やショッピングモールへ出かけるのが当たり前。
趣味はビリヤードやダーツで、ビリヤードではJPAというアマチュア大会にチームで参加したこともあります。
残業続きの中でも週1日は定時で上がって、新宿や池袋の会場に向かい、仲間と夜遅くまで遊ぶ。
有給を取れば南伊豆などに旅行に行く――そんな生活が当時の自分にとっては不満のない日常でした。
20代後半に何かが変わってきた
20代前半は半分学生気分のまま、そうした都会生活を楽しんでいました。
けれど20代後半になると、会社からの期待や責任も大きくなり、趣味よりも仕事を優先するように。
気づけば趣味に時間を使うことも、有給を使って旅行することもなくなり、仕事一色の毎日になっていました。
当時はそれほどストレスを感じていなかったものの、今振り返ると明らかに生活のバランスは変わっていたと思います。
30代になって変わった価値観
忙しい毎日から「自分の時間」を求めるようになった
30代になり、仕事や人間関係に追われる忙しい生活の中で、「これから先はどうしようかな」と考えるようになりました。
仕事自体は順調で不満もなかったのですが、どこか満ち足りない感覚が残っていたのです。
そこから「せめてプライベートくらいは自分のペースで過ごしたい」という思いが強くなりました。
出会いや交流の趣味より、自分のための趣味が欲しくなった
20代は「人とつながる趣味」が楽しかったのですが、30代になると「人とスケジュールを合わせない趣味」を求めるようになりました。
そんな時、ふと昔やっていたことを「またやろうかな?」と思い出したのを覚えています。
ゲームもバイクも大学生までは楽しんでいましたが、社会人になるタイミングで「一人の趣味は無駄だ」と思い、意識的にやめていたものです。
都会の便利さに慣れても、自然への欲求が強まっていった
東京の便利な暮らしに慣れる一方で、心のどこかで「自然に触れたい」という欲求が強まっていきました。
田舎で育った頃の感覚が、無意識に戻ってきたのかもしれません。
20代後半に江戸川区に住んでいた頃は、休みの日に朝から自転車で葛西臨海公園へ行き、林間エリアの人が少ない場所にシートを敷いて寝転び、太陽を浴びるのが習慣でした。
ただ自然の中で太陽を浴びるだけですが、それが最高のリフレッシュになっていました。
30代になると、筋トレやランニング、旅行などの趣味を始める人も多いですが、自分は「自然に触れる」「一人でできる」ソロキャンプが一番しっくりきました。
ソロキャンプを始めたきっかけ
初めてのソロキャンプで感じた焚き火の魅力
休みに日光浴をしてリフレッシュしているうちに、もっと自然を深く感じたいと思い、ソロキャンプに挑戦しました。
最初は移動手段がなく、Amazonで安い最低限の道具を揃えて、電車やバスを乗り継いでキャンプ場へ向かいました。
初めてのソロキャンプで焚き火の前に座ったときの感覚は、今でもはっきり覚えています。
子供の頃、田舎の庭で落ち葉を燃やし、焼き芋をしていた記憶がよみがえりました。
見渡す限り一面が田んぼの地元では、庭で焚き火をするのも珍しくなかった時代。
その焚き火の「炎のゆらぎと煙の匂い」が、懐かしい感覚を呼び起こしてくれました。
火を眺めているだけで飽きることがなく、時間がゆっくりと流れていく。
「これこそ自分が求めていたものだ」と強く感じました。
バイクに10年以上ぶりに乗ってみたら楽しかった
ソロキャンプを続けるうちに、もっと多くの場所へ行きたいと思い、カワサキのエストレヤを購入しました。
学生の頃にバイクを手放して以来、10年以上ぶりの再挑戦です。
若い頃のようにスピードを求めるのではなく、景色を楽しむためのクラシックなスタイル。
足つきもよく、キャンプ道具を積んでも安定して走れるエストレヤは、まさに最高の相棒になりました。
久しぶりにバイクにまたがった瞬間、高校生の頃にボロボロの原付きをバイト代で買い、どこまでも走っていける自由を感じた記憶が鮮明によみがえりました。
荷物を積んで知らない場所に行ける自由さ
最初は「日光浴の延長」で、電車で行ける範囲のキャンプ場で十分でした。
けれどバイクを手に入れてからは、キャンプ自体が目的に変わり、行きたい場所へ自由に出かけられるようになりました。
荷物を積んで知らない土地へ走り出す――その自由さこそが、ソロキャンプを本当の意味で「自分の趣味」にしてくれた瞬間でした。
ソロキャンプで気づいた自然の心地よさ
焚き火と塊肉、シンプルなご飯の贅沢
社会人になってからの普段の食事は、外食やコンビニが中心でした。
そんな生活から一転、焚き火で焼いた塊肉を食べると、同じ肉でもまるで別物のように格別に感じます。
焚き火をいじりながら、肉をじっくり焼いてはアルミホイルで休ませる。
そんなシンプルな手間をかける時間が、今では最高の贅沢です。
夜の静けさとオイルランタンの明かり
暗い森の中で、焚き火とランタンだけが照らす空間。
その静けさは都会では絶対に味わえず、心の底からリラックスできました。
キャンプを始めた頃は「大きくて手間のかかるハリケーンランタンなんていらない、LEDで十分」と思っていました。
けれど今では、オイルランタンの温かい光はソロキャンプに欠かせない存在になっています。
自然の中で一人だからこそリセットできる感覚
自然の中で「ただ一人でいる」ことが、思っていた以上に心地よいものでした。
誰かに合わせる必要がなく、自分をリセットするための大切な時間になっています。
それはリラックスというより、無心になる感覚。
焚き火や自然に集中することで、余計なことを考える余地がなく、まるでマインドフルネスのようでした。
ソロキャンプを続ける中で、ただの趣味以上の変化が生まれました。
不要なものを手放し、本当に大切なものだけを残す生き方にシフトできたのです。
一番大きな変化は、東京を離れて移住したことかもしれません。
コロナをきっかけに兵庫、そして福岡へと移り住み、ようやく「自分が一生住みたいと思える場所」に出会えました。
20代の頃は「老後になったら地方に住むのもいいかも」と漠然と思っていましたが、30代から自分が今こうして地方へ移住するなんて当時は絶対に考えられませんでした。
趣味としてソロキャンプを続ける理由
都会暮らしと両立できる(250ccバイク・週末だけでもOK)
ソロキャンプの魅力のひとつは、都会暮らしと両立しやすいことです。
250ccバイクなら維持費も安く車検も不要。
週末の1泊だけでも気軽に出かけられます。
自分も30代になってからバイクを再び乗り始めましたが、それだけで日常に大きな変化がありました。
普段は電車でしか移動していなかったのに、バイクでツーリングに出かけるだけでも良い刺激になったのです。
もちろん、引っ越しの際に「駐輪場のある賃貸を探す」のは少し大変でしたが、それを差し引いても再びバイクに乗り出せたのは大きな喜びでした。
道具を揃えることで生活の楽しみも広がる
キャンプ道具は使う時だけでなく、部屋に置いて眺めるだけでも気分が上がる存在です。
無骨すぎず、生活にちょっとした彩りを与えてくれます。
ソロキャンプを始める前の部屋は、ベッドとPCデスクしかない殺風景な空間でした。
今はお気に入りのアウトドアギアを飾るだけで、自分の暮らしそのものが楽しくなったと感じます。
一生続けられる趣味になる可能性がある
キャンプはソロだけでなく、家族や友人と一緒にも楽しめます。
ライフスタイルの変化に合わせて形を変えられるのが大きな魅力です。
自分にとってキャンプは、焚き火をいじりながら塊肉をじっくり焼き、焚き火とオイルランタンの光の中で食べて飲む――それだけで満足できる時間です。
だからこそ、ソロキャンプは「一生続けられる趣味」だと感じています。
キャンプをこれから始めたい人へのヒント
最初に必要な道具と費用の目安
ソロキャンプは最低限の装備から始められるのが魅力です。
テント・マット・寝袋・バーナー・ランタンを揃えれば、3〜5万円程度でスタート可能。
自分も最初は「日光浴の延長」のような感覚で始めました。
Amazonで安い道具を買いましたが、意外と壊れず問題なく使えていました。
車がなくても行けるキャンプ場の選び方
最近は公共交通でアクセスできるキャンプ場も多くあります。
特に電車+バスで行ける湖畔キャンプ場など、最初は設備が整った場所を選ぶのがおすすめです。
自分は東京に住んでいた頃は、JRで行ける奥多摩方面によく出かけました。
日光など観光地周辺のキャンプ場も電車やバスが整備されていて行きやすいです。
季節ごとの注意点(虫・暑さ・寒さ)
キャンプは季節ごとの注意点を知っておくと快適に楽しめます。
- 夏:虫対策をしっかり
- 冬:防寒装備が必須
- 春・秋:昼夜の気温差に注意(最低気温が低い日は寝袋と服装を暖かめに)
最初のうちは春や秋に行くと快適に過ごせます。
また、標高の高いキャンプ場は夏でも涼しく、虫が少ないのでおすすめです。
最後に:30代から始めるソロキャンプは“自分のための趣味”になった
20代の頃は都会の暮らしが楽しく、自然に目を向けることはありませんでした。
しかし30代になって改めて自然に触れたとき、自分にとっての「心地よい時間」はソロキャンプにあると気づきました。
ソロキャンプは誰かに合わせる必要がなく、自分のペースで過ごせる趣味です。
都会暮らしとも両立でき、心をリセットしてくれる大切な時間になっています。
バイクでツーリングに出かける瞬間も、焚き火の前で無心に過ごす時間も、すべてが日常にはない特別な非日常感を与えてくれます。
だからこそソロキャンプは、これからも一生続けていきたい自分だけの趣味だと感じています。