社会人になって、会社と家の往復に慣れてくると、気づいたら 「仕事以外の時間がなくなっている」感覚を覚えました。
休日はベッドでPCやスマホを見て終わり。
社会人なりたての頃はビリヤードやダーツで夜中まで遊ぶこともありましたが、仕事が忙しくなるほど続かなくなりました。
何かを始めても、また辞める。
その繰り返しで、いつしか 「趣味がない大人」になっていました。
ある日、ふと気づきました。
休みなのに、一歩も外に出ていない。
その瞬間、「家ではなく外で過ごしてみよう」と考えたのが最初のきっかけです。
近くの大きな都立公園に行き、グランドシートを広げて、ただ日光と風に当たりながらぼーっと過ごしただけ。
何かを頑張ったわけでも、特別なことをしたわけでもありません。
ただ外に出て、自然の中に身を置いた時間が、自分にとっての小さな最初の一歩でした。
ここでは、小さく始めたソロキャンプが気づけば続く趣味になった理由を書いていきます。
目次
社会人になって「趣味がない」と感じた理由
社会人になって仕事に慣れてくると、気づけば家と会社の往復だけの生活になっていました。
仕事が終わって家に帰っても、PCやスマホを眺めて終わり。
外に出る回数は年々減り、休日に何もしていない感覚が強くなりました。
30代が近づくにつれて、周りも変わっていきます。
- 友人は仕事や結婚で予定が合わなくなる
- 平日に飲みに行くことはあっても、休日まで行動を共にすることは減る
彼女が同じ趣味を持っていなければ、他人と何かをする機会はさらに少なくなります。
疲れていると、新しいことに踏み出す気力も湧きません。
- 新しいことを始めても、仕事が忙しくなると続かない
- 仕事中心になると「遊びって何をすればいいのかわからない」
- 人と予定を合わせることが難しくなる
こうして、他人と予定を合わせて趣味を楽しむことに限界を感じるようになりました。
そして、気づけば「自分には趣味がない」と思うようになっていました。
やりたいことが見つからないのは、行動のハードルが高すぎるから
趣味を探そうとしても、まず最初に「何をするか決める」という労力が必要です。
決断にはエネルギーを使うため、疲れていると“ラクな方へ流れる(現在バイアス)”という性質があります。
その結果、趣味を始めようと思っても、
- 調べる必要がある
- 準備が必要
- 人と予定を合わせる必要がある
こういった要素が重なり、行動のハードルが一気に上がります。
自分も社会人になってから、社会人サークルや習い事を考えました。
実際に、アマチュアビリヤードリーグのJPAに参加したり、デッサン教室に通っていた事もあります。
ただ、どれも一年ほどで忙しさが重なり、やめてしまいました。
一度やめたものを再開するには、想像以上のエネルギーが必要です。
結局、「また始めるくらいなら、別にいいか」と思ってしまう。
特にグループに所属するような趣味は、仕事が落ち着いたからといって「また参加します」とは言いづらく、自分のペースでできないことが負担に感じました。
そして、こうした経験を重ねるうちに、歳を重ねるほど“新しいことを始める気力”が薄れていくのを感じました。
「やりたいことがない」というより、人と予定を合わせたり、自分の都合でできない趣味は難しいと感じていたのです。
人によっては、やりたいことがあっても“動く前に疲れてしまう”のかもしれません。
小さく始めたのは「外で過ごしてみる」ことだった
最初の一歩は、キャンプではありませんでした。
その日ふと、「家ではなく外で過ごしてみよう」と思い立ちました。
近くの大きな都立公園に行き、人が少ない端のエリアでグランドシートを広げ、ただ寝転がって日光と風に当たっていただけです。
持っていったのは、シートと汗を拭くためのタオルだけでした。
社会人になってから、これほど太陽を浴びたのは久しぶりでした。
目を閉じても伝わる陽の光、木々のざわめき、風の音——
それだけで頭の中がスッと静かになり、心が軽くなる感覚がありました。
「また、週末にここへ来よう」
そう思えたのは、本当に久しぶりのことでした。
それから数カ月のあいだ、毎週末に朝から公園へ行くのが習慣になりました。
その自然に触れる時間が、ソロキャンプを始めるきっかけになっていきました。
準備がいらないから続けられる、“ストレスの少ない趣味の形”
片付けも準備もほとんどゼロ。
このとき気づいたのは、「心理的コストが小さいほど、人は行動しやすい」ということでした。
- 用意も片付けも簡単
- 近場だから自転車で気楽に行ける
- 一人だから決めることが少ない
この「気軽さ」が、のちのソロキャンプという趣味につながる大きな要素になりました。
今でもキャンプに行くときは、予約不要のキャンプ場しか選びません。
持ち物も、バックパックひとつにまとめた“いつものセット”だけ。
できるだけ「選択しない行動」を意識し、ストレスを溜めない生き方を続けてきました。
この考え方は、会社員だった頃に感じていた息苦しさから抜け出すきっかけにもなりました。
独立してフリーランスになったのも、この“無理を減らす”考え方がベースにあります。
そして、この考え方は今も会社員として働く人にも十分取り入れられると思います。
完璧な趣味でなくていい。
「ちょっと気持ちいい」を続けられることこそが、本当に続く理由だと思います。
気づいたらソロキャンプにつながっていった

最初は、ただ日光浴をしているだけで満足していました。
けれど、もっと自然に触れる時間を増やしたら、日々の気分が変わるかもしれない——そんな気持ちが湧いてきました。
趣味として思いついたのは、「登山」「ロードバイク」「キャンプ」。
その中で、最もコストがかからず、一人でも自分のペースでできるのがソロキャンプでした。
初めてのソロキャンプでは、3万円ほどで最低限の道具をそろえ、都心から電車で行けるキャンプ場を選びました。
食材はスーパーで買い、テントを張って焚き火をするだけ。
よく「ソロキャンプって一人で何するの?」と言われますが、自分も最初は同じ疑問を持っていました。
昼はテントの設営が終わったら自然の中でダラダラ過ごし、夜は真っ暗なキャンプ場で焚き火をいじりながら過ごす。
家でスマホを触っているだけの時間と変わらないようでいて、焚き火の炎を見つめているだけで、頭が静かになる時間でした。
不思議と、焚き火をしている間はスマホを触ろうという気が起きません。
キャンプに行く頻度が増えるにつれて、普段の生活でもスマホを触る時間が減り、SNSを見ることもなくなりました。
その変化は、自分にとってとても心地よいものでした。
続いた理由は“自由であること”
ソロキャンプが長く続いた理由は、自由であることでした。
- 自分のペースでできる
- 他人に合わせなくていい
- こだわり方も自由
キャンプにはいくつもの楽しみ方があります。
道具を集めるのもいいし、焚き火でご飯を作るのもいい。
ツーリングや写真を目的にしてもいいし、夜空の下でお酒を飲むだけでもいい。
どんな形でも成立する、それがキャンプの魅力です。
初めてのソロキャンプで焚き火を見つめていたとき、「これは一生続けられる趣味になるかもしれない」と感じました。
続けて気づいた“ちょうどよさ”──ソロキャンプが長く続いた理由

ソロキャンプを続けるうちに、自然の中で過ごす時間が「特別なこと」ではなく、日常の延長になっていきました。
外の空気を吸い、星空の下で焚き火を眺めながら過ごす。
それだけで、頭の中がリセットされていくような心地よさがあります。
気づけば、SNSもソシャゲもやめていました。
何を買ったか覚えていないような、Amazonでの衝動買いもなくなりました。
代わりに、厳選したキャンプ道具を手入れし、何十年も使うであろう無骨なブーツを磨く時間が増えました。
次のキャンプでどんな景色に出会えるかを考えることが、自然と楽しみになっていました。
“続く趣味”とは、頑張らないこと、ストレスがないこと、そして心の底から満たされること。
自分にとっては、それがソロキャンプでした。
最後に:趣味がない人ほど“小さく始める”のがおすすめ
趣味は頑張るものではなく、違和感がない程度に小さく始めるのが良いと思います。
- 道具を揃える必要はない
- 完璧に計画しなくていい
- 楽しくなかったらやめればいい
小さく始めて、ストレスを感じず、「続けてもいいかも」と思えるものが、ちょうどよく長く続けられる趣味になります。






