登山やソロキャンプで定番の「エスビット ポケットストーブ」。
手軽に使える小型ストーブとして人気ですが、実際に使ってみると便利な点と不便な点がはっきり分かれます。
自分も最初はメスティン炊飯用に愛用していましたが、使い続けるうちに火力調整やコスト面で限界を感じ、アルコールストーブへ移行しました。
この記事では、エスビット ポケットストーブの基本的な使い方と注意点を紹介しつつ、ソロキャンプではなぜアルコールストーブのほうが快適なのかを実体験ベースで解説します。
目次
エスビット ポケットストーブとは

エスビット ポケットストーブは、ドイツのアウトドアブランド「Esbit(エスビット)」が発売している折りたたみ式の小型ストーブです。
手のひらに収まるほどコンパクトで、登山やソロキャンプなど軽量装備を重視する人向けに人気があります。
コンパクトで登山・ソロ向けの定番ストーブ
収納時は約115×85×23mm/重さ85gほど。
メスティンやクッカーの中どころかズボンのポケットにも収まるサイズ感で、荷物を極限まで減らしたいソロキャンプでは特に重宝します。
燃料には固形燃料(エスビット純正・ニイタカ製など)を使用。
ガスバーナーのように器具や缶を持ち歩く必要がないため、「最小限の装備で完結したい」キャンパーにぴったりです。
また、キャンプでは焚き火をメイン調理に使い、炊飯だけをポケットストーブで行うという使い方も人気です。
手軽にサブ熱源を持ちたい人には最適な一台です。
サイズ・重さ・特徴まとめ
- サイズ: 収納時 約10cm × 7.7cm × 2.3cm
- 重量: 約85g
- 燃料: 固形燃料タイプ(Esbit純正・カエンニューエースなど)
- 用途: メスティン炊飯、湯沸かし、クッカーを使った軽調理
エスビット ポケットストーブの使い方

エスビット ポケットストーブの使い方
- ストーブの脚を開き、水平な場所に設置します。
固形燃料(おすすめは25gタイプ/カエンニューエースE)を中央に置きます。
※風があると燃焼が早く終わるので、風防を使うと安定します。 -
メスティンに米1合を入れ、30〜60分しっかり浸水。
水量は米と同量、リベットの高さを目安に。 -
メスティンをポケットストーブに乗せ、着火します。
25gの固形燃料なら約20〜22分燃焼し、そのまま自動で炊き上がります。 -
火が消えたら10分蒸らす。
これで芯の残らない、ふっくらしたご飯が完成します。
💡 ポイント:
この方法はいわゆる「自動炊飯」で、放置するだけで失敗が少ないのが魅力。
「ほったらかしで炊ける」感覚が、ポケットストーブの最大のメリットです。
成功させるコツとよくある失敗
- 浸水時間が短いと芯が残る(最低30分、寒い時期は1時間)
- フタに重しを乗せると熱が均一になりやすい
- 蒸らし10分を省くと全体がベチャつく・ムラが出やすい
ちなみに、一番大事なのは 「最低30分は米を水につける」 という点です。
炊飯器の「通常炊飯」が約60分かかるのは、実はその中に浸水時間が含まれているためです。
キャンプでメスティンを使って炊く場合は、その浸水工程を自分で確保する必要があります。
これを怠ると、どんな燃料でも芯が残って失敗しやすくなるので注意しましょう。
実際に使って感じた注意点・不満点

固形燃料はコストが高い
純正のエスビット固形燃料(14g)は1個では一合が炊けず、2個必要になります。
自分が使っていた当時は、1個あたり約130円ほど。
1回の炊飯で260円前後というのは、正直かなり割高です。
そのため、より安価なカエンニューエースE(25g)を試してみました。
こちらは50個まとめ買いで1個あたり約27円と非常にコスパが良く、火力・燃焼時間も問題なし。
しかしこの燃料は長期保存に弱く、数カ月〜1年で劣化してしまいます。
徐々に柔らかくなり、触るとボロボロと崩れてしまうようになります。
結果的に、アウトドアで長期的に保管するにはEsbit純正のような防湿タイプが必要になり、やはり長期使用を前提にするとコストが高くつくのが現実です。
火力の微調整ができない
固形燃料の最大の弱点は、火力調整が一切できないことです。
たとえば「0.5合だけ炊きたい」「炊き込みご飯をもう少し加熱したい」など、微妙な加減が必要な調理には不向きです。
とくに自動炊飯スタイルでは、「燃料を1個置いて放置するだけ」という手軽さが魅力である反面、1個単位でしか調整できない点がデメリットになります。
固形燃料は「一定時間だけ強火で燃える」仕組みなので、途中で火を弱めたり止めたりすることは不可能です。
この点は、後述のアルコールストーブと比べて大きな違いになります。
ソロキャンプではアルコールストーブをおすすめする理由

火力調整ができる
アルコールストーブは液体燃料の量で火力をコントロールできます。
炊飯・湯沸かし・炒め物など、シーンに合わせて使える柔軟さが魅力です。
液体燃料なので目分量の調整になりますが、慣れてくると「いつもより少し多め」「控えめ」など、感覚的に火力を微調整できるようになります。
固形燃料では不可能だった“火加減の調整”ができる点が大きなメリットです。
燃料コストが安く、保管もしやすい
燃料用アルコールは500mlで約400円前後。
一回の炊飯で約30mlほど使用するため、1回あたり約25円と非常に経済的です。
また、アルコールは長期保管がしやすく、気温の影響も少ないため、キャンプやツーリング中の燃料管理も楽になります。
キャップ付きのボトルに移しておけば、液漏れもありません。
メスティンとの相性が良い
メスティンの中に、アルコールストーブ本体と燃料ボトル(60ml×2)を収納可能です。
1セットで炊飯4回分ほどの燃料を持ち運べるため、連泊キャンプでも余裕があります。
火力も安定しており、ほぼ失敗のない自動炊飯が可能。
荷物を減らしたいソロキャンパーにとっては、取り回し・安定性・収納性の三拍子が揃った熱源です。
メスティンの中に収納して持ち運んでいるもの
- アルコールストーブ本体
- 燃料ボトル(60ml × 2)
- 風防(五徳にもなる商品)
この組み合わせでメスティンひとつにすべて収まるので、バックパック内でも場所を取りません。
片付けも楽で、荷物を最小限にしたいソロキャンプでは非常に扱いやすい構成です。
メスティンとアルコールストーブの組み合わせ・収納セットを詳しく解説した記事はこちら
固形燃料とアルコールストーブを比較してみた
| 項目 | 固形燃料(エスビット) | アルコールストーブ |
|---|---|---|
| 火力調整 | ✕ 調整不可(一定の強火のみ) | ○ 燃料量で細かく調整可能 |
| コスト | 約260円/回(純正使用時) ※安価燃料でも約30円 |
約25円/回 (燃料用アルコール30ml換算) |
| 収納性 | ◎ 手のひらサイズで非常に小さい | ○ メスティン内に収納可能(燃料込み) |
| 安定性 | △ 風や気温に影響されやすい | ○ 火力が安定しやすく気温に強い |
| 使い勝手 | ◎ 置いて点火するだけの手軽さ | ○ 設置準備が必要だが汎用性が高い |
| 総評 | 手軽で初心者向きだが、 コスパと調整面がネック |
自由度が高く、 ソロキャンプでは最も扱いやすい熱源 |
まとめ
エスビットは「コンパクトですぐに使える手軽さ」が最大の魅力。
一方で、アルコールストーブは「コスパ・安定性・自由な火力調整」が強みです。
結論
- コンパクトさを重視するなら → エスビット ポケットストーブ
- メインの熱源として長く使うなら → アルコールストーブ
個人的には、キャンプギアとして見たときのアルコールストーブの真鍮ボディの美しさも大きな魅力だと思っています。
炊飯ひとつ取っても、“道具を使う楽しさ”が増えるギアです。
最後に:ソロキャンプでの自動炊飯はアルコールストーブがおすすめ
エスビット ポケットストーブは軽量で手軽に使える点が魅力ですが、長く使うほど燃料コストや火力調整の難しさが気になってきます。
一方でアルコールストーブは、火力が安定してコスパも良く、管理も簡単。
メスティンとの相性も抜群で、放置するだけの自動炊飯が安定して成功します。








